Inspiration

2024.02.08

「思いやりを形にする」。鈴木善雄さん、引田舞さん夫妻のギフト選び。

時代や国境を超えて魅力的なものを集め、その出合いの場を創出するクリエイティブユニット〈CIRCUS〉を主宰する鈴木善雄さんと引田舞さん夫妻。もの選びのプロでもある二人にアスレティアのアイテムの中から相手に贈りたいギフトを選んでいただきました。セレクトしたアイテムには一緒に働く仲間として、夫婦として、相手を思う気持ちが込められていました。

常に“いいもの”、“いい人”を探すのが仕事

―二人の仕事内容を教えてください。

鈴木:時代や国籍を問わず古道具や古家具を買い付けたり、卸したり、セレクトショップやアパレルショップの雑貨の商品セレクトやギャラリーの企画・運営などを行なっています。あとは東京・新木場にある複合商業施設〈CASICA〉のディレクション、渋谷PARCOの期間限定ショップ〈Archives〉の運営も。

―〈CASICA〉はアンティークの家具や古いオブジェ、そこに新しいプロダクトや作家ものなどが並ぶ楽しい空間ですよね。ご自宅も同じ雰囲気が感じられます。

引田:仕事の場では夫は主に古物担当、私は作家さんの個展の企画やプロダクト担当で、仕事でもプライベートでも本当に好きなものだけを選んでいるので、どちらもそれぞれの趣味が凝縮されている空間ですね。

鈴木:僕たちは商品選定や空間プロデュースの仕事とは別に焼き菓子や紅茶などを販売する〈TAKIBI BAKERY〉の運営もしています。もともと僕は飲食店を約14年ほど経営していて、当時の食のブランドを“架空のパン屋”として卸販売で展開しているんです。

引田:私はアパレルブランドでプレスとして働いていたことがあり、昨年から子ども服のリブランディングにも携わっています。善雄は飲食や空間設計のこと、私はアパレルやラジオでの番組制作など、二人ともいろんなことを経験してきて、それが積み重なって今の活動に繋がっている感じです。

―二人の活躍を伺うと本当に幅広い仕事をされているのだなと感じます。

引田:そうですね。いろんな業種の方達に声をかけていただいて、活動領域が広がってきました。毎回試行錯誤の連続で、勉強しながらではあるんですけど、せっかく声をかけてくれたんだから、精一杯応えたいという気持ちで。仕事の幅は広いですが、基本的にはいい作家さん、いいものを提案することが多いので、常に“人探し、もの探し”をしている状態です。

鈴木:作家さんは地方に住まれている方がほとんどですが、なるべく工房やアトリエに伺ってお話をしたいですし、古物の買い付けで長期で海外に行くことも。なので、出張は多いです。

引田:よく、“夫婦で仕事も一緒だと大変じゃない?”と言われます。たしかに大変なことは多いんですが(笑)、お互いの仕事の進行状況が細かく把握できるというメリットもあるんです。「明日までにクライアントに企画書を作らないといけないのは善雄だから、今日の夕飯作りと子供のケアは私に任せて!」とか。二人とも出張が多いですし、一般の家庭よりは外食は多いほうだと思いますが、家事も育児も完璧にやろうとして心や体をすり減らすよりは、お互い無理せず元気なほうがいいよね、と言い合っています。

妥協せず、本当に“いい”と思ったものをプレゼンし合う

―目利きのお二人が私生活でものを選ぶ時に大事にしていることは何ですか?

鈴木:妥協せずにお互いが納得したものを選ぶようにしています。あったほうが確実に便利な家電製品もスペックだけで選ぶことはせず、徹底的にリサーチをする。不便な生活が続いても、生活空間に合うものを探すようにしています。長年、連れ添っているので好みはだんだん近寄ってはきましたが、好きなものが全く一緒というわけではないので、欲しいものがあれば相手にプレゼンしてOKが出たら買う。OKが出るまでは買わない。だから、もの一つ選ぶのも時間がかかります。

引田:仕事の面では二人の好きなものがバラバラなのがいいのかも。お互いが見つけてきた商品を見て「こうきたか!」とおもしろがることができるし、発見がある。そんなふうにセレクトに幅があるほうがお客さんも見ていて楽しいと思っています。

―一緒にいる時間が長いと思いますが、ギフトを贈り合うことはありますか?

鈴木:誕生日は贈り合っていますが正直昔ほど夫婦間での贈り物は少なくなったかもしれません。

引田:お財布が一緒だからね(笑)。

―ギフト選びで意識することはありますか?

引田:夫の誕生日には服を贈ることが多いです。普段あまり服を買わない人なので、似合いそうなものを見つけたらプレゼントします。私の40歳の誕生日にはサプライズでピアノを贈ってくれました。それがすごく嬉しかったですね。

鈴木:サプライズと言っても「欲しい」オーラがすごかったんですよ(笑)。

引田:とっても素敵なピアノを見つけて、ずっと夫に話してたんです。

鈴木:夫婦でもこれぐらいアピールされないと、相手の欲しいものってなかなかわからないなって改めて思いました。

ギフトを通じて相手への思いやりを再確認できる

―今回はお二人にそれぞれアスレティアのアイテムからギフトを選んでいただきました。まずは引田さんが鈴木さんに選んだものを教えていただけますか?

引田:月に一度、夫は古物の競りに行くんですが、朝から夕方まで一日中屋外でやっていて真冬でも日焼けするので「スキンプロテクション UVジェル 30」を選びました。素敵な日焼け止めがあったら塗ってくれるかなと。

鈴木:なかなか塗る習慣がなくて…。日焼け止めって塗ると重たい感じがしたんですけど、「スキンプロテクション UVジェル 30」はそういう感じが全然しないですね。

引田:香りもいいよね。あとは化粧水「コアバランス トーニングローション」も。知り合いのヘアメイクさんがおすすめされていて、口コミを見てみたら、「テクスチャーがさっぱりしている」と書かれていたのが気になって。私自身、とろみのある重ためのローションよりもパシャパシャ使える軽めのタイプが好きで、男性もそのほうが使いやすいかなと。あとは、夫は日頃から自転車で長距離移動をするので、汗のニオイを抑えられる「リフレッシング デオドラントミスト」を選びました。

鈴木:知らない道を寄り道しながら自転車で移動するのが好きなんです。自転車で移動して、打ち合わせや現場監理をして、また自転車で帰ってくるというルーティンも多いので、汗をかいても一日中殺菌防臭効果が持続するのがいいですね。

―次は鈴木さんが引田さんに選んだギフトについて教えてください。

鈴木:僕たちの仕事は古い蔵や倉庫といった乾燥が厳しい過酷な環境で、埃まみれになりながらものを探す作業が長いんです。だから、仕事終わりに手を洗って、さっとつけられる「アロマラッピング ハンドクリーム」を選びました。種類がいくつかあったので迷いましたが、妻はネロリが好きなので「03 / EARLY AFTERNOON」を。

引田:好みの香りのものを選んでもらえると嬉しさが倍増しますね。

鈴木:あとは最近目の周りの乾燥が気になると言っていたので「アイゾーンケアクリーム」も。

引田:普段からパソコン作業が多く目を酷使しがち。時々自分が写った写真を見ると「こんなに目元がカサカサしてる!」って驚くので(笑)、そろそろパーツケアを頑張らなきゃなと思ってたので嬉しいですね。

鈴木:妻は毎晩シートマスクは欠かさずやっているので、「コアバランス トーニングマスク」も喜んでくれそうだなと。

引田:お風呂上がりにシートマスクをつけておけばスキンケアしながら家事ができるし、私の顔を見て子どもが「お化けだ〜」って言って喜ぶんです(笑)。出張が多いので個包装タイプのシートマスクはすごく助かります。

鈴木:服やアクセサリーは好みがあるから、自分が気に入ったものを買うのが一番だと思うんですけど、こういったケアアイテムは「いつもありがとう」という気持ちと一緒に合わせて贈れるのがいいですね。

引田:女性は乾燥肌とか敏感肌とか、肌タイプによっても合うものが違うのでスキンケアアイテムを選ぶのは結構難しいんですけどパーツケアのアイテムはプラスアルファで取り入れやすいので嬉しいです。

―お二人の選んだ理由を伺っていると、相手を思う気持ちが伝わってきました。

鈴木:そうですね。僕、“ギフト”と聞くと、オー・ヘンリーの短編小説『賢者たちの贈り物』を思い出すんです。貧しい夫婦がクリスマス前に互いのプレゼントを買おうとする話で、夫は祖父の代から受け継がれてきた金時計を質屋へ入れて、妻が欲しがっていた鼈甲の櫛を買う。一方の妻は自身の美しい髪の毛を売って手に入れたお金で夫の時計につける鎖を手に入れる。でも、プレゼントを渡した時には、鎖をつける時計はなく、また、櫛をとかすだけの髪の毛はない。それぞれのプレゼントは無駄になってしまうんですが、二人はお互いの「思いやり」をプレゼントにすることにした、という話なんですね。僕はそれがすごく好きで、贈り物ってこういうことだなって思います。

引田:私たちは夫婦で仕事をしているから、家も職場も一緒。長時間ともに過ごしていると時々喧嘩もするんだけど、相手を思いやる気持ちは忘れずにいたいですね。忙しい日々を過ごしているとつい忘れてしまいがちだけど、相手を思いやる時間を再確認させてくれる。それがギフトなのかもしれません。

  • Text/Mariko Uramoto
  • Photo/Yui Sakai
  • Edit/Riku

プロフィール

鈴木善雄、引田舞

ディレクションから設計、商品選定などを行うクリエイティブユニット「CIRCUS(サーカス)」を結成。東京・新木場の複合スペース「CASICA」では古物の買い付けからイベントの企画、ブランディングまでトータルにディレクションを行う。また、架空のパン屋「TAKIBI BAKERY」、渋谷PARCO 4Fで自社ブランドのArchivesを展開。オリジナルブランドoudoも2024年発表、過去の文献から紐解いた家具を再構築する「焚火工藝集団」の代表も務める。

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