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2023.03.08

「誰かを想うことからギフト選びは始まる」。逗子の花屋<橘>で聞いた贈り物の楽しさ。

神奈川県逗子市にある<橘>は、気軽に会話しながら花や植物の魅力を感じられる店として、約2年前のオープンからファンを増やしているフラワーショップ。店主の優子さん、スタッフのよしのさん、裕二さんは、植物の育て方や花の生け方だけでなく、花を贈りたい人のサポートも行う花と植物のエキスパート。普段はお花を渡す方とともに受け取る方の笑顔を想像しながらお花選びをしている三人ですが、今回は<アスレティア>のアイテムの中から、それぞれに贈りたいギフトを選んでもらいました。選んだ理由と贈り物に込めた想いとは。

花屋に多様性をもたらしたい。

─優子さんが花の仕事をしようと思ったきっかけは何でしたか?

優子:以前は広告制作会社にプランナーとして勤めていました。仕事はやりがいがあってとても好きでしたが、体を壊してしまって。それで、無理せず長く続けられる仕事をやろうと思って始めたのが花屋の仕事でした。

―どうして花屋だったのでしょうか?

優子:花屋にはまだまだ可能性があると思ったんです。たとえば飲食店は一つに特化した専門店があったり、個性が際立った世界観の店があったりと多様性がありますが、花屋は見せ方も売り方も世界観もなんとなく似ているところが多い。それが“入りにくい”と思われがちな要因なのかもと思いました。以前、男性のデザイナーの友人が「花屋は入るのも緊張するし、何を選んでいいのかわからないから店員さんにお任せする」と言っていたことがあってすごく驚いたんです。その方、クリップ一つ選ぶのも慎重になるくらいこだわりの強い方なんですよ。それぐらい敷居が高いんだと思ったし、もの一つにこだわる人にこそハマる要素はあると思いました。自分で花や植物を選ぶ楽しさを知ったら、もっと好きになってもらえるはず。だから、誰でも気軽に入りやすい花屋をやりたいなと思いました。

―表参道の<デリジェンスパーラー>で約5年間勤めて、その後<橘>を開店されたそうですね。

優子:はい。鎌倉の自宅から表参道まで通っていたのですが、出産を機に長距離通勤が難しくなってしまったので、自分で店をやるしかないと思って、独立しました。

売れなくてもいいから鉢物を置く。

―どのような花屋にしたいなと思いましたか?

優子:やっぱりコミュニケーションを大事にしたいと思いました。入りやすさもそうですし、見せ方や伝え方も意識して、お客様との会話が生まれるように、店の開口部は全面ガラス戸で外からも店の様子がわかります。また、切花と同じ品種の鉢物も仕入れるようにしているのもこだわりの一つです。

―それはどうしてでしょうか?

優子:切花はほとんどの場合、葉を切り取った状態で出荷されるので、どういう状態で生えているかを知らない方も多いんですよね。私は植物は土から生えている状態が一番かわいいと思っているので、その姿を見てもらいたい。切花を見ているお客様に「こういうふうに生えてるんですよ」と鉢物を見せたら興味を持ってもらえます。正直なところ、その鉢が売れなくても構わなくて、そういうふうに会話をすることでその人の記憶に残ればいいなと思うんです。

―店先に並んでいたイチゴの鉢植えもたくさんの人が足を止めて見ていらっしゃいましたね。

優子:イチゴって置いてあるだけで「かわいい!」と笑ってもらえるんです。「家でも気軽に育てられますよ」とお伝えすると、興味を持ってくださる方が多い。特にお子さん連れの親御さんが買って行かれるのですが、イチゴを通して子どもと過ごす時間が一層楽しくなったらうれしい。そういうふうに花や植物があることで、誰かとの会話が増えたり、日常が少しでも楽しくなったらと思って、ラインナップを考えています。

“ここではみんな「橘」なんです”

―店名の<橘>という名前の由来はなんでしょうか?

優子:意味のある言葉の店名にしたくなくて、色々と考えていたのですが、そもそも結婚後も旧姓で働いてきたけど、今後もそのままの名前で仕事をすべきかを悩みました。自分の店にはご近所の方も来るし、その方達には結婚後の苗字で呼ばれるので、どうしたらいいのかなと。そしたら、「なんでこんなことで悩まなきゃいけないんだ!」とだんだん腹が立ってきて。だったら、どちらでもない名前にしようと母の旧姓を名乗ることにしました。日本のみかんの原種と言われている植物ですし、もともと橘という姓に憧れていたので「橘優子になれるぞ!」と、軽いノリで決めました。そしてついでに店の名前も橘にしました。そうすれば、こうした機会に由来の話をすることで、日本の制度に対してこんなことを思っている女性もいますよ、という発信になる。「まったく同じことを思っていました」という女性のお客様がたくさんいらっしゃいました。

―ここではスタッフの方も全員「橘」の姓を名乗るそうですね。

優子:はい、みんなを巻き込んだ方が楽しそうだなと思って、ノリで決めました!

―スタッフのよしのさん、裕二さんはどうですか?

よしの:スタッフ全員が同じ姓を名乗るので、ファミリーのような感覚が生まれて楽しいです。

裕二:必然的に下の名前で呼び合うことになるので距離感を近くに感じられます。職場で下の名前で呼ばれることってあまりないから新鮮で。

優子:ただ、いつもみんなを下の名前でしか呼ばないので、苗字を忘れてしまいがちになるのですが……。

誰かと過ごす時間を大事にすること

―働きやすい環境を作るために意識していることはありますか?

優子:長時間立ちっぱなしは辛いので、椅子を置いていてこまめに座るようにしているのと、長期的に見て、少しでも腰の負担を減らすため、ディスプレイの花瓶で大きいサイズのものをガラス製ではなく軽量で割れないポリカーボネート製にしています。また、外の鉢物の飾り方も、とにかく軽量で腰をかがめなくても移動できる什器を選んでいます。その方が開店・閉店作業も早く済むし、合理的なんです。“我慢が美徳”という価値観は好きではなくて、いかに楽をするか、いかに合理的にできるかをいつも考えています。我慢を評価したくないし、誰もが無理せず働ける環境を整えたいです。花瓶の重さなんて実際は大したものじゃないけれど、毎日のことなので。

よしの:優子さんとは、いい意味で上司と部下という感じがなくて、世間話や家の事情、仕事上の悩みなどフランクに話せるのですごく働きやすいです。人数が多い職場で働いていたこともありますが、そこにはこういう“柔らかさ”がなかったなって。あとは、ここで働いている人みんな自由が好きなので、それを尊重し合えるのが心地いい。休みも取りやすいです。

優子:繁忙期に休まれたら困りますが(笑)、それ以外は柔軟に。私も旅行が大好きですし、休みは大事だと思っています。

―それはどうしてでしょうか?

優子:誰かといる時間を大事にしてほしいんです。誰かと過ごすことや、誰かを思うことの素晴らしさを知らない人はこの仕事はできないと思う。人の気持ちを想像したり、共感したり。だから、プライベートの時間を大事にしてほしいなと思います。

―普段は、お客様のライフスタイルに合わせた花を提供したり、ギフト選びのサポートをされているみなさんに、今回はそれぞれギフトを贈り合っていただこうと、<アスレティア>の店舗で選んでいただきました。よしのさんには優子さんへのプレゼントをセレクトしていただきましたが、どのような思いで選ばれましたか?

よしの:優子さんは仕事や家事、育児で日々忙しくされているので、自分をケアする時間を大切にしてほしいと思って、まず『コアバランス オイル』と『コアバランス トーニングローション』を選びました。スキンケアのアイテムって好みやこだわりもありますし、贈り物に選ぶことってあまりなかったのですが、それが新鮮でいいかなと。アスレティアはパッケージが素敵ですし、メイク台にあったらテンションが上がるなと思って。いいものをたくさん知っている人にプレゼントを渡すのって難しいんですけど。

優子:いやいや、そんな。私、久しぶりにプレゼントもらったかもしれない。すごく嬉しいです。

よしの:アスレティアのスキンケアは、導入としてコアバランスオイルを先につけるそうです。そうすると、後からつけるコアバランストーニングローションが柔らかいテクスチャーになって、クリームを塗った後のようなしっとり感が生まれるとか。

優子:香りもとってもいいですね。スキンケアをしながらリラックスできそう。

―アスレティアでは空き容器回収サービスもあるのですが、『コアバランス オイル』、『コアバランス トーニングローション』はそれぞれガラス瓶なので使い終わった後、このまま花を飾ってもよさそうです。

優子:たしかに!

よしの:あとは職業柄欠かせないハンドクリームも。優子さんは香りにすごく敏感なので、心が安らぐウッディな香り『アロマラッピングハンドクリーム 02』を選びました。あとは日頃のリップケアが楽しくなりそうな『リップオイルエッセンス』も。<アスレティア>の気持ちのいい店舗でギフトを選ぶのがすごく楽しかったです。

―優子さんは裕二さんへのプレゼントを選んでいただきました。

優子:裕二くんは自宅でお香やパロサントを焚く習慣があると聞いていたので、香りのアイテム『スイッチング アロマルームミスト N』、あとは『リフレッシュ ヘア&ボディシャンプー』を選びました。

裕二:『スイッチング アロマルームミスト N』が2本も入ってる!

優子:部屋の香りをその日の気分によって変えられると楽しいかなと。裕二くんは海好きなので海風の爽快感をイメージした「FEEL THE WIND」と、樹木の深い香りをイメージした「SACRED TREE」にしました。

裕二:気分屋な僕の性格をわかってくださっていてうれしい!『リフレッシュ ヘア&ボディシャンプー』はヘアシャンプーとボディシャンプーが1本になったタイプなんですね。バスルームにこれ1本を置いておけばいいから、空間がスッキリしそうです。

―最後は、裕二さんが選んだよしのさんのプレゼントを教えてください。

裕二:ボディクリームは買う機会もあるかなと思ったので、ボディオイルの『デュアルエッセンス ボディオイル 01』を選びました。マッサージのしやすさとベタつきにくさにこだわった植物オイルで、マッサージ後はしっかり保湿もしてくれるそうです。疲れた体をこれでほぐしてもらえたら。リップもクリームではなくて、オイルタイプの『リップオイルエッセンス』にしてみました。ちょっといいリップクリームってなかなか自分で買わないから喜んでもらえそうだなと。ハンドクリームは何本あっても困らないので4本セットの『アロマラッピング ハンドクリームセット』を選びました。1本ずつが小さいので持ち運びもしやすそうです。

よしの:ポーチにも入るサイズでうれしいです!そして、このギフトボックスかわいいですね。開ける前からテンションが上がりました。

贈り物は“あなたのことが好き”と伝える行為。

―プレゼントを贈ること、もらうことってどんな意味があると思いますか?

よしの:花屋で働いていて感じるのは、贈り物を選ぶって相手のことを考えるってことなんですよね。真剣に花を選んでいるお客様の様子を、贈る相手に見せてあげたいなと思うくらい。悩んだり、選んでいる時間も含めて、贈り物って愛おしいと思います。

裕二:そうですよね。僕、以前は「気に入ってもらえなかったらどうしよう」と“もの”ばかり気にしていたんですけど、花屋で働き出してから、贈り物って選んでる時間がとても大事なんだと気づきました。自分自身ももらったらうれしいですし、それと同じくらい選んでいる時間も幸せというか、気分が上がることだと思います。

優子:オンラインで花束の注文をいただくと、そこに贈る相手の方のことをすごく細かく書いてくださっているんです。そのままコピペして贈ってあげたいと思うぐらい、読んでいて心がすごく温まります。そういうシーンに立ち会うと、改めて贈り物って素敵だなと思う。ギフトを贈るって、“あなたのことが好きですよ”って好意を伝えることだと思うんです。特別な日に高価なものを贈るだけじゃなくて、なんてことない日にギフトを渡すことがもっと日常的になったらいいなと思う。“これ、あの人が好きそうだな”とか“似合いそうだから買っていこう”、みたいな、それぐらいの気軽さもいいなと思います。

  • Text/Mariko Uramoto
  • Photo/Yui Sakai
  • Edit/Riku(REING)

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