Inspiration

2024.01.18

身構えず、走りたくなったら走るくらいの気持ちで。/田中真琴

新しいことを始めたくなる一年の始まり。なりたい自分になるためにチャレンジしたいことはありますか?スポーツを習慣に取り入れたいと思っている人もいるかもしれません。今回はランニングやバドミントンなど日頃からスポーツを楽しんでいる俳優の田中真琴さんを迎え、スポーツを生活に取り入れるきっかけから、体を動かす楽しさ、無理なく続けられるコツを伺いました。

“痩せたほうがいいよ”の苦しさから解放されたのは、
十人十色の体の美しさがあると気づいたから

小さい頃から走るのが得意で、小学校は陸上部に、中学、高校、大学ではバドミントン部に所属していました。学校を卒業して、俳優活動を始めてからは体力づくりの一環として、ウォーキングやランニング、ジム通いをしています。

俳優業にとって体調管理は仕事の一つ。日頃から運動をしていた方が免疫が上がり、体をいい状態にキープしやすくなります。また、舞台出演中は1日2公演の日が続いたりとかなりハード。体力がもたないと仕事に影響が出てしまうので、バテない体作りをする必要がある。舞台の稽古が終わったヘトヘトの状態でそのままジムに行き、ウォーキングをしたり、ランニングをしたり、筋トレをしています。

24時間ジムは夜でも雨の日でも思い立った時に運動ができるのでいいですね。ジムではウォーキングやランニングなど有酸素運動をすることが多いのですが、景色が変わらないマシーンの上で走り続けるのはおもしろくない。なので、マシーンの上にiPadをセットして、あらかじめダウンロードしておいたアイドルのライブ映像を見ながら走っています。歌って踊れるアイドルを眺めているとモチベーションが上がりますし、「この曲が終わるまで頑張ろう」と頑張れます。推しは、BiSH。彼女たちを見ていると、6人6様の筋肉のつき方、体の形があり、それぞれの美しさがあると気づいて、健康的な体作りを意識するようになりました。

それまで「痩せた方がいいよ」と言われる度に、細くなきゃいけないんだと思い込んで激しいダイエットをしていました。食事を抜きすぎて体調を崩してしまったことも。見た目を気にしすぎて、健康をおざなりにしたら意味がないと思いました。自分が健康で、幸せであることは大前提。その上で「自分にとって理想のスタイルをキープしよう」と頭を切り替えました。人それぞれベストな体重、体型がありますから。

実は食べることが好きで、ラーメンが大好物。ラーメン好きの方とお話しすると、日頃から運動されている方が多いんです。プールに通ったり、ウォーキングしたり。気をつけてさえいれば、我慢せずにラーメンを食べていいんだと思えるようになりました。「太っちゃうかな」と思いながら食べるよりも「おいしい!」と思いながら食べるほうが楽しい。気にせず食べたいものを食べれるように。それも運動を続けている理由です。

スポーツがつないでくれた人の縁

京都から上京して、芸能活動を始めた時、友達が全然いなくて寂しい思いをしました。仕事とは関係のない友人が欲しくて、ネットで見つけたバドミントンの社会人サークルに行ってみたんです。知らない人ばかりのところに飛び込むのは勇気が入りましたが、「バドミントンが好き」という共通項のおかげで、すんなりと輪に入ることができました。そこには小説家志望の方、コピー機を修理している方、お医者さん、本当にいろんな年齢、職業の方がいて、俳優業だけをやっていたら知り合うことのなかった人と話せるのがとても楽しいです。

友人が入っている別のバドミントンサークルには80歳の方もいるそうで、みんな腕が上がって、とてもかっこいいのだそうです。筋肉は使わないと眠り続ける。スポーツを続けていると、いつまでも動ける体でいられるんだと励みになります。

無理なく運動したいから、いつも通りの自分でいられるウエアを着る

私も運動していない時期があったんです。振り返ってみるとその時は、落ち込みやすかった気がします。運動をしたら「よく頑張った」と自分を褒めることができて、自然と自信がつく。それを繰り返していたら、落ち込むことが減りました。また、運動をしていないとなかなか寝付けない日もあったのですが、スポーツを再開してからは脳と体が同じくらい疲れるからか、ぐっすり眠れるようになりました。また、日常的にスポーツをしているおかげで、階段の上り下りや電車に乗り遅れそうになって急にダッシュすることも苦ではなくなりました(笑)。

ウエアは肌触りは重視しますが、見た目にはあまりこだわってなくて、高校時代のジャージを履いて24時間ジムによく行っています。というのも、かっこいいおしゃれなウエアを着るのが恐れ多くて、着るだけで疲れちゃうんです。いつもの生活の中で無理なく運動したいから、いつも通りの自分でいられるウエアを着る。パーソナルジムに行く時は、ナイキのショーツとTシャツ。スポーティでちょっと古着っぽいカジュアルな雰囲気が気に入っています。

運動しなきゃと気合を入れるとなかなか続かないけど、「天気がいいな、散歩してみようかな」というところからスタートしていいと思います。歩いているうちに気持ちよくなって、走りたくなったら走る。ウエアもバッチリ決めなくていい。私も履き古したスニーカーで走っています。

あと、私は運動する時間も気にしていません。寝る前に運動するとよくないと聞きますが、私は夜走るのが好きだから、寝る前でも気にせず走りに行きます。やらないよりはやった方がいいと思って。有酸素運動のあとに筋トレしたほうがいいとか、いろいろな情報はありますが、まずは自分の生活に取り入れやすいペースでやればいいと思います。そして、合わなければ無理せずやめる。私はゆっくりしたペースで進むヨガは自分の性格に合わず、続きませんでした(笑)。頭で難しく考えずに、とにかくやってみる。それがスポーツが身近になる一歩かなと思います。

  • Text/Mariko Uramoto
  • Photo/Kyotaro Nakayama
  • Edit/Riku

プロフィール

田中真琴

1995年京都府生まれ。感覚ピエロや、BiSHのミュージック・ビデオに出演し、注目を集める。これまでに、ドラマ「時効警察はじめました」(19/EX)、「左ききのエレン」(19/MBS)、「きみが心に棲みついた」(18/TBS)、「真夏のシンデレラ」(23/CX)、「時をかけるな、恋人たち」(23/KTV)、「うちの弁護士は手がかかる」(23/CX)など話題作に多数出演。23年には、『ジュビロクラブアンバサダー』に就任。24年2月に始まる、舞台『斑鳩の王子 -戯史 聖徳太子伝-』へ出演予定。

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