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2022.10.07

<athletia UK スタッフ>Kanさんに聞く、自分らしくいるための心のメンテナンス方法

性的マイノリティの当事者として、「自分らしく生きられる社会」を実現するために様々なメディアでメッセージを発信されているKanさん。『クィア・アイ in Japan!』の出演、同性パートナーとの結婚のためにロンドンへ移住するなど、自分の意思で心地よくいられる環境を選択している。実は、アスレティアのロンドン支社にジョインしたばかり。仕事と私生活、どのように心身のバランスを整えているのだろうか。

自分の気持ちに寄り添うことで、自分を大切にする方法が見つかっていく

─メディアで拝見するKanさんはポジティブな印象ですが、幼い頃はセクシャリティのことで悩み、不安に囚われることも多かったと拝見しました。どのようなお子さんだったんですか?

Kan:もともとの性格は、子どもの頃と大きく変わっていない気がします。よく言えば考えることが好き、だけど考え過ぎてしまい悩みがち。その傾向がより強かった幼稚園の年長から小学校までは、学校に行くことが難しく、ご飯が食べられなくなってしまう時期もありました。今思えば、子どもの頃は社会の不平等な構造を知らなかったり、モヤモヤを言語化できなかったりして、「全部自分のせい」だと思っていたんです。段々と自分の性格との付き合い方がわかってきたのと同時に、この苦しさは自分のせいじゃないんだとわかって、自己肯定できるようになってきました。

─自分らしさを受け入れられるようになったのは、環境の変化などあったのですか?

Kan:大学4年生で1年間休学して、カナダに留学したことは大きかったです。クィアのお友達ができたんですが、僕から見たら自分らしさ全開で、とびきり幸せそうで。カナダのセレクトショップで働いていた時の先輩は同性愛者で、自分の恋愛についてオープンに、すごく楽しそうに話すんです。日本でもそういう話ができる友人はいたけれど、あくまでも内輪。セクシュアリティを隠さないで、楽しそうに生きる姿にすごく励まされました。

あと、日本とカナダの生きやすさが全然違ったんですね。それで、この生きづらさは自分ではなく社会の構造によるものなんだ、苦しみを全部自分が背負わなくていいんだ、と思えて。そういう一つひとつの経験を積み重ねて、気持ちを言語化できるようになって、ようやく居心地がいい場所や人、逆にあまり好きじゃないことを見つけていきました。パズルのピースを一つずつはめていくような感覚ですね。

─スイッチのオン/オフのように、いきなり自分らしさを全開にすることは難しいと思うので、段々とパズルのピースをはめていくことが大事かもしれませんね。

Kan:そうですね。自分を大切にする方法は人それぞれで、僕の場合は、当時セクシャリティを後ろ向きに捉えていたのが引っかかっていたから、オープンな先輩に惹かれて、自分らしさを見つけていきました。感情ってすごく流動的じゃないですか。その浮き沈みに寄り添って、一つずつ向き合うことで自分らしさのピースが見つかると思います。

感情の浮き沈みに寄り添って、自分に優しくする

─『クィア・アイ in Japan!』に出演されたことも、自分らしさを大事にするきっかけになりましたか?

Kan:出演する前は、感情が流動的なことに気づけていなかったから、オンの状態を保とうとしていました。なので、ファブ5(*1)に会えば、セレブリティでキラキラしているから、短絡的だけど一生「オン」になれると思っていて。だけど、一人一人とセッションをする中で、それぞれに悩みや葛藤がありながらも自分らしく生きようとしていることに、すごくエネルギーをもらいました。好きなものを部屋に置いたり、カラフルなものを身に付けたり、簡単なことで気持ちが変わることも知って。感情の浮き沈みに寄り添って自分に優しくしようと思うようになりました。

─自分の感情に寄り添うために、Kanさんはどんな方法を取り入れていますか?

Kan:寄り添う方法は色々あって、仲のいい友人やパートナーに話したり、お散歩したり、アスレティアのミストで深呼吸して落ち着くこともあります。本当に辛くなりそうな時は「カウンセリング」に頼りますね。

不安なことが起きそうなときに、「これがあれば大丈夫」と思えるものがあるだけで気持ちが落ち着くとカウンセラーさんに教えてもらったことがあり、僕にとってそれがカウンセリングなんです。感情の起伏があるタイプなので、ふとしたタイミングでパニックになりそうなとき「僕にはカウンセリングがあるから大丈夫」とお守りみたいになっていますね。カウンセリングも一箇所ではなくて、住んでいる地域で提供しているカウンセリングプログラムを受けたり、日本語でカウンセリングを受けられるオンラインプラットフォームを使用したり、心の状態に合わせて場所を変えています。

─カウンセリングを受けると、心がどう変わりますか?

Kan:いろんなメソッドがありますが、僕が受けているのはたくさんお話を聞いてくれて、そこから色々選択肢を提示してくれるものが多いです。そうすると、自分の状況を客観視できる感じがします。

1対1のコミュニケーションという意味では、仲のいいお友達に相談するのと何が違うんだろうと思われるかもしれませんが、僕が感じるのは、カウンセリングはひたすら話を聞いてもらえるということです。普通の会話はキャッチボールなので、意見が返ってくると思考がぶれたり、相手に影響されたりすると思います。だけど、カウンセリングは「僕のための時間」だから、自分の考えをたっぷり話した後にフィードバックをもらえるので思考が整理されるんです。

─漠然とした不安を言語化するのは難しくないですか?

Kan:最初は緊張しましたが、先生たちも話を聞くプロなので、向こうが漠然とした不安を言語化してくれることもあります。「元気?」って聞かれたら、なんとなく「元気」と答えちゃいますよね。でも、そうした何気ない一言を見つめて、元気じゃない自分に気づくことも大事。もし、気持ちが落ちているなら、そのきっかけを突き止めて今後に活かせる方法を探ることもあります。

─それは素敵ですね。Kanさんは自分の状態によって、寄り添う方法をいろいろ使い分けられていますが、どうやって心の信号をキャッチしているんですか?

Kan:感情に意識を向けるタイプだから、状態をキャッチしやすい部分もあると思います。あとは、毎日少しの時間でも感情を書き出したり、自分の心の状態を言語化しようとしたりしますね。そうして、カードを引くように感情に合わせて好きな方法を選ぶんです。

─逆に、すごく楽しかったことはどんな風に自分の中に溜め込んでいますか?

Kan:嬉しくて踊っちゃったり、そのことばかり話したりしているかもしれない。「こんなことがあってね」って、10秒に1回くらい同じことを言い続けているので、パートナーはちょっとうんざりしています(笑)。

「なんか今日は外に出たくない」という曖昧な気持ちも受け止めてあげる

─自分らしくいられる環境を選択する意味で、仕事場は非常に大事だと思うのですが、アスレティアに入社されたのはどういった理由から?

Kan:「オンもオフもその人の人生に寄りそうこと」をブランドの理念として掲げていて、僕の目指しているものと共鳴する部分が多く感じました。しかも、対象がジェンダーだけでなく、環境やソーシャルといったいろんな側面に寄り添おうとしている。その信念がプロダクトやコミュニケーションからも感じられるのも好きです。働き始めて8ヶ月くらいですが、人間らしく、個性の塊みたいな人たちばかり。それぞれの価値観を受け入れていて、たとえば働き方もバラバラなんです。朝7時くらいから働いて15時に終業する人も。電車や自転車通勤、在宅やリモートなど、その人の働きやすいベストが実現されています。

─どんな業務を担当されているんですか?

Kan:主に店頭のマーケティングを担当しています。日本のチームのみなさんにたくさん助けていただきながら、店頭キャンペーンの計画と実施、お店の売り場の見せ方、店舗への営業、お客さまへの接客などを考えています。あとはイギリスオリジナルの動画やビジュアル制作物も用意したくて、画策中です。

─Kanさんのお気に入りアイテムは?

Kan:最近新しく発売された「スイッチングアロマ ルームミスト Sacred Tree」の香りが大好きで、仕事の合間にスプレーをして深呼吸しています。特にお気に入りは「トリートメント クレンジングオイル」。しっとりしたテクスチャーで肌触りがいいのと、香りがすごく気持ちいいので、面倒だったクレンジングの時間が楽しみになっています。

─気持ちが盛り上がるプロダクトを使ったり、カウンセリングを受けたり、自分の気持ちに向き合う術を知って、カードを何枚も持つことで自分らしさが大切にできるのではないかと今日の話を伺っていて思いました。

Kan:自分の気持ちをモニタリングする機会は、意識しないと持てないですよね。僕も実践中ですが、なるべく毎日、自分の状態を確認して、気持ちに寄り添った行動を取るようにしています。なんか違うな、嫌だなという言語化できない気持ちも、感じていることは事実。「なんか今日は外に出たくない」と思ったら、無理して友達と遊びに行かなくていいと思うんです。小さくても、自分の感情を受け止めてあげることが、自分らしい選択を重ねるためにすごく大事だと、僕は思っています。

(*1)ファブ5・・・Netflixオリジナルのリアリティ番組「クィア・アイ」に登場するフード・ワイン、ファッション、美容、インテリア、カルチャーなどそれぞれ得意分野を持った5人。

  • Text/Yoko Hasada
  • Photo/Kazumi Hasegawa
  • Edit/Riku(REING)

プロフィール

Kan(カン)

大学在学中にカナダに留学。大学卒業後はイギリスへ渡り、大学院でジェンダー・セクシュアリティについて学ぶ。帰国後は化粧品会社に入社し、マーケティング業務を担当。2019年にNetflix『クィア・アイin Japan!』のエピソード2に出演。性的マイノリティ当事者として、自分らしさやセクシュアリティをテーマにSNSでの発信や企業、学校での講演活動をおこなっている。2021年9月にパートナーのTomとイギリスで結婚。現在イギリスで暮らしている。

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